相続放棄を決意する方の大半は、亡くなった被相続人に大きな負債があると推定できることを動機としています。例えば、消費者金融からの借り入れがあった、事業を行っていて銀行から多額の借り入れがあるなどの事情は、身近な親族であればなんとなく気づくものです。
もっとも親族が遠方に住んでいたり、交流が全くない場合には、相続放棄の判断材料が少ない、または一切ない場合があります。そのような場合、被相続人が亡くなったことを知った際には、相続放棄を選択する方が多数ではないでしょうか。万が一にでも多額の負債を相続し、返済をしなければならない事態を避けたいからです。
一方で、上記のようなケースで亡くなった人に負債がなく、むしろ多額の資産があった場合には、相続を選択をする人がいてもおかしくはありません。ただし、その選択を検討する前提として、被相続人に資産があると知っていなければならないと言えます。
最高裁によると、2024年度には相続放棄等による相続人の不存在によって国庫帰属した相続財産の総額は約1,292億円に上ったとのことです。この国庫帰属した財産は年々増加の傾向にあるようです。この数字は、被相続人には多額の遺産があったということを知らない相続人が多くいる可能性を示唆しているのかもしれません。
国庫に帰属することが悪いことだとは言いませんが、せっかく蓄えた資産を親族に承継して欲しいという希望を持っている方もいるのではないでしょうか。
このような事態を防ぐためには、「相続人が適切な判断をするための情報」を生前のうちに整えておくことが重要です。具体的には、まずご自身の財産状況を一覧化しておくことが有効です。不動産、預貯金、有価証券といった資産だけでなく、借入金や保証債務などの負債についても明確にしておくことで、相続人が判断に迷う余地を減らすことができます。そして、その情報が死後に発見されやすいように、エンディングノートなどの目立つ資料と共に保管をしておくのも有効です。
さらに有効なのが遺言書の作成です。遺言書の中で財産の内容や所在について触れておくことで、相続人に対して「資産がある」という重要なメッセージを残すことができます。また、遺言執行者を遺言書作成時に指定をしておけば、死後に遺言執行者が相続人に対して財産目録と共に遺言書の存在を知らせてくれます。
当事務所では、財産目録の作成支援や遺言書作成のサポートなど、将来の相続トラブルを防ぐためのご相談を承っております。ご自身の大切な財産を確実に次世代へ承継するためにも、お早めにご相談ください。











