人が亡くなり、相続を原因とする不動産の名義変更には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍、除籍、原戸籍謄本、相続関係説明図、住所証明書、評価証明書、そして遺言書(作成していれば)などの書類が必要となります。この中で、住所証明書についてご説明いたします。
住所証明書
住所証明書は、相続だけでなく、売買や贈与などを原因とする不動産の名義変更登記にも必要です。また、不動産の所有者が住民票を異動して住所が変わった際の住所変更登記にも必要な書類です。住所証明書にはいくつか種類があります。代表的なものは住民票ですが、他にも亡くなった人の除票や、他の市区町村に移動後の除票、住居表示実施証明書、戸籍の附票なども住所証明書として使用できます。住民票を住所証明書として使用する際は、マイナンバーが記載されていない形で取得する必要があります。これは、住民票を使用して行う全ての名義変更登記で共通です。
除票
相続による名義変更で添付する除票(同世帯なら住民票)には、亡くなった方の本籍地の記載が必要です。これは、除票の本籍地と戸籍謄本の本籍地を照合するためです。この照合により、法務局は除票と戸籍に記載された亡くなった方が同一人物であることを確認します。
住居表示実施証明書
住居表示実施証明書は、住所の表記が「番地」から「丁目」などへと変わった場合に必要です。通常、住居表示実施がなされた場合は市町村から変更証明書が送付されますが、時間の経過により紛失することもあります。しかし、住居表示実施証明書は市区町村の窓口で取得できますのでご安心ください。
戸籍の附票
戸籍の附票は、あまり耳慣れないかもしれませんが、本籍の戸籍が婚姻や改製などで作成されてから現在までの住民票の異動が一覧で確認できる便利な書類です。そのため、司法書士などの専門家は、住所を証明する書類として戸籍の附票を最も利用します。ただし、戸籍の附票は必ずしも現在の住民票の所在地の市区町村で取得できるわけではありません。戸籍の附票は、その戸籍の本籍地の市区町村で取得できます。従って、住民票がA市にあるが、戸籍がB市にある場合は、B市で取得する必要があります。本籍を移動していない場合、取得する市区町村が遠方になることもあります。