“亡父名義の建物が表題登記しかされていない”
建物の相続相談では、このような場合がよくあります。
表題登記のみでも所有者が誰かはわかるのですが、相続や売買をする場合には、所有権保存登記が必要となります。
金融機関で住宅ローンを組んだ場合は、担保設定の前提として所有権保存登記申請が必要なため、冒頭のような問題は起こりません。しかし、ローンを組まずに自己資金で購入した場合は、所有権保存登記をする義務がないため、表題登記しかされていない事態が起きるのです。
所有権保存登記がされていない場合の登記手続きについては、今後建物をどう処分するのかによって変わってきます。
①相続人が承継する場合
権利を承継する相続人名義で所有権保存登記をすることができます。
②建物を壊す場合
所有権保存登記をせずに建物滅失登記をすることで建物を壊すことができます。
③父が生前に建物を第三者に譲渡していた場合
原則として直接第三者への所有権保存登記はできないため、相続人により亡父名義の所有権保存登記を申請した後、譲受人への所有権移転登記をします。