遺言書は手書きにより作成する自筆証書遺言と公証役場で作成する公正証書遺言の二つがよく利用されます。ここでは自筆証書遺言について取り上げます。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、文字通り遺言を書く人が自分で手書きするので、すぐにでも作成できます。日付、名前、押印など一定の法律上のルールがありますが、その要件を満たせば本文は「全財産を妻の何某に相続させる。」という文言でも有効です。ただし、実際に遺言者が亡くなり相続手続きで利用する場合には注意が必要です。法務局による保管制度を利用した場合を除いて、自筆証書遺言は家庭裁判所にて検認という手続きを経なければなりません。
家庭裁判所の検認
具体的には、戸籍等を収集して法定相続人を特定して家庭裁判所に検認の申立てをします。その後、家庭裁判所から相続人全員に検認期日が通知され、その期日に家庭裁判所の職員と出席した相続人の立ち会いの中で遺言書を開封して内容の確認をします。そして、検認手続きが完了した後、検認済証明書を申請して遺言書に合綴されて初めて相続手続きに使用できるようになるのです。もっとも、検認手続きでは遺言書の有効性については判断しないため、その後の相続手続きで遺言書が無効と判断されてしまうこともあります。こうした事態を避けるためにも、遺言書を作成する際は司法書士等の専門家に相談することをおすすめします。