相続が発生したら、まず「何が遺産か」を正確に把握することがすべての手続きの出発点です。財産調査が不十分なまま進めると、後から新たな財産や負債が発覚し、手続きのやり直しが必要になることもあります。
財産調査の全体の流れ
step 1
遺品・書類を整理する
通帳、権利書、証券、保険証券などを探す
step 2
不動産を調査する
固定資産税の納税通知書、名寄帳で調べた物件について法務局で登記事項証明書を取得
step 3
預貯金を調査する
各金融機関にて相続手続きを依頼
step 4
有価証券を調査する
証券保管振替機構(ほふり)に照会
証券会社・信託銀行にて相続手続きを依頼
step 5
負債を確認
借入金・保証債務・未払い税金を調査
財産の種類別の具体的な調査方法
不動産(土地・建物)
不動産は「固定資産税の納税通知書」に記載されている物件一覧が最初の手がかりになります。ただし、これだけではすべてを把握できないことがあるため、市区町村で「名寄帳(なよせちょう)」を取得することをおすすめします。新たに始まった所有不動産記録証明制度の利用も検討すると良いです。
| 調査方法 | 取得先 | わかること |
| 固定資産税の納税通知書を確認 | 自宅の書類 | 課税対象の不動産一覧 |
| 名寄帳(固定資産課税台帳)を取得 | 市区町村役場 | 同一市区町村内の全不動産 |
| 登記事項証明書を取得 | 法務局 | 所有者・抵当権の有無等 |
| 所有不動産記録証明制度 | 法務局 | 全国に所有している不動産登記情報 (未登記物件や登記上の住所・氏名に変更がある場合は確認できない) |
預貯金や株式など
故人が利用していた銀行がわからない場合は、郵便物・通帳・スマートフォンのアプリなどを手がかりに探します。口座が判明したら、各金融機関に残高証明書を請求します。証券口座は本人しか把握していないことも多く、見落としが生じやすい財産の一つです。郵便物や「特定口座年間取引報告書」が届いていないか確認しましょう。
上場株式・投資信託
証券会社・信託銀行(証券会社への照会書を送付)
国債・社債
購入した金融機関へ照会
生命保険・年金
生命保険は相続財産にならない場合(受取人固有の財産)もありますが、相続税の計算に影響するため確認が必要です。保険証券が見当たらない場合は「生命保険契約照会制度(生命保険協会)」を利用すると、すべての生命保険会社に一括照会できます。
負債(借入金・保証債務)
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も正確に把握することが重要です。借入金が多い場合は「相続放棄」や「限定承認」という選択肢もあるため、原則として3ヶ月の熟慮期間内に調査を終える必要があります。
信用情報機関への照会も有効
故人の借入状況を調べるには、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの3機関に照会することで、消費者金融やクレジットカードの残債を確認できます。
司法書士に依頼するメリット
財産調査は対象機関が多く、書類収集だけで1か月以上かかることも珍しくありません。司法書士は各機関への照会請求や登記情報の調査から相続手続をまるごとサポートできます。特に不動産を含む相続では、後続の相続登記(2024年から義務化)とセットで依頼することで、手続き全体を効率よく進めることができます。












