日本の法律(民法など)では、お亡くなりになった方の財産や債務などの権利義務を相続人が相続する事が定められています。一方で民法は相続の対象とならない財産の存在についても定めているのです。相続財産とならない典型的な財産がお墓です。お墓などの財産は、相続人同士で分け合う共同相続の法律を適用するのは国民感情に馴染まないため、通常の相続の例外として扱われているのです。そのためか、相続関係のご依頼の中で、お墓の相続についてお客様から質問される事が多々ございます。そこで今回は、お墓の相続人がどのように決定されるのかをご説明させていただきます。
① 亡くなった方が指定
これはお亡くなりになった方が遺言などで、お墓の承継者を指定されているケースです。この指定は遺言のみならず生前に指定する事も可能です。この指定は特に決まった方式はなく、書面でも口頭でも良いとされております。しかも驚くべきことに承継者は相続人である必要はありません。血のつながりのない無い第三者でも良いのです。もっともお墓の管理者の承継は、霊園の規則によって相続人に限定されていることが多いようです。この辺りはお墓のある霊園に問い合わせる必要があるでしょう。
② 慣習によって決める
これは①のように承継者の指定がなされていないケースです。慣習によって決めるというのは出身地、職業、宗派など総合的に判断がなされます。もっとも慣習をよりどころに相続人の協議で決定する事も認められているようです。
③ 家庭裁判所の調停によって決める
これは①の被相続人の指定もなく、②の慣習もなく相続人の協議も行われない場合の最後の手段です。
お墓の承継者の指定の手段について簡略的にご説明させていただきました。実際には多くの場合、相続人を中心とする関係当時者の合意・協議で決定されるのが実情のようです。
なお、お墓の承継者は相続を放棄した方でも、承継することができます。この扱いは、お墓の承継は通常の相続の例外とされているためかと思われます。