一般的に、相続では故人から配偶者または子供へ相続財産が継承されます。しかし、子供が親より先に亡くなってしまった場合は誰が親の財産を相続するのでしょうか。これを正確に判断するには、数次相続と代襲相続の2つのパターンの相続の違いを知る必要があります。数次相続と代襲相続は非常に似た概念ですが、発生する相続の効果は大きく異なってきますので注意が必要です。
数次相続とは
聞き慣れない言葉の響きですが、一般的な親子間の通常の相続が重なった状態の相続の事です。
①父死亡⇒②息子死亡⇒③孫
①の父が土地などの財産を所有していたのにも関わらず、父の死亡時に遺産分割協議などを行っていなかった場合、②の息子の妻も①の父の相続財産である土地を取得する権利があります。なぜなら、②の息子が①の父の死亡時に土地の相続持分をすでに取得しているからです。また、②の息子の遺産分割協議を行う立場を妻と孫が相続によって継承しています。よって相続人は、母、兄弟、妻、孫の4名になり、法定相続分の割合は、母2分の1、兄弟4分の1、妻8分の1、孫8分の1となります。
代襲相続とは
代襲相続が上記の数次相続と異なるのが亡くなった順番にあります。数次相続では相続人が順番に亡くなっていますが、代襲相続では父より息子が先に亡くなるなど順番通りではありません。
②息子死亡⇒①父死亡
②の息子がH25年に亡くなっており、①の父がH27年に亡くなっています。②の息子は父より先に亡くなっているため父の相続財産を取得できず、母と兄弟のみで父の相続を行うかのように思えます。しかし民法では「亡くなった息子に直系の血縁者がいるならば、その者に相続させましょう」という考え方を採っております。息子には直系の血縁者、父から見て③の孫が存在します。この孫が先に亡くなった息子に代わり相続する事となります。これを、なり代わって相続をするという意味で代襲相続といいます。代襲相続は①の父の直系親族にのみ行われますので、②の息子の妻は①の父の財産を相続することはできません。③の孫が本来父の相続人であった息子の相続分を全て相続します。よって相続人は、母、兄弟、孫の3名になり、法定相続分の割合は、母2分の1、兄弟4分の1、③孫4分の1となります。
数次相続では②息子の妻も③孫と共に①父の相続人となるが、代襲相続では妻は①父の相続人とはならない。