相続が発生し亡くなった方の財産を相続人で分配する場合、必ず遺産分割協議書を作成しなければないと考えている方が多勢います。しかし相続財産を分配する際に遺産分割協議書の作成が不要なケースがあるのです。
遺産分割協議書が不要
○民法の法定相続分通りに分配
民法では法定相続分という相続分の割合が定められており、法定相続分通りに分配する場合は、遺産分割協議も遺産分割協議書も不要です。
配偶者と子1名 | 配偶者2分の1 |
子2分の1 | |
配偶者と子2名 | 配偶者2分の1 |
子A4分の1 | |
子B4分の1 |
遺産分割協議書が必要
遺産分割協議及び遺産分割協議書の作成が必要となるのは、民法の法定相続分と異なる分配をする場合です。
○亡くなった方と同居していた相続人が、居宅だった土地建物を単独で相続
独立して実家を出て現在は他県他市に居住している相続人からすれば、実家の居宅を相続してもあまり意味がないという事で、実家で亡くなった方と同居してた相続人に相続分を譲ってしまうという事です。
○実家の居宅を同居していた相続人に譲るが、預貯金などの財産については法定相続分通りに分配
相続財産を法定相続分通りの分配と、法定相続分以外の分配の複合型の遺産分割協議がなされるケースも非常に多くみられます。相続財産の一部でも法定相続分と異なる分配をする場合は、遺産分割協議と遺産分割協議書の作成が必要となります。
遺産分割協議書を作成した方が良い
民法の法定相続分通りに相続財産を分配する場合にも遺産分割協議書を作成した方がよい場合があります。
○相続人の中に長く疎遠で連絡をほとんどとっていないか、一切コンタクトをとった事もない相続人が含まれている
兄弟姉妹の子や、離婚した配偶者の子が相続人となっているケースです。疎遠になっている相続人と充分なコミュニケーションをとるのが困難なため、相続人同士が時間をかけて話し合う遺産分割協議が行えません。そのため綿密な話し合いが必要のない法定相続分通りの分配が行われるのですが、付き合いの疎遠な相続人と合意をする以上は、後の紛争の火種を取り除く意味で、法定相続分通りの分配でも遺産分割協議書を作成しておいた方が良いでしょう。