相続が発生すると、配偶者と子が相続人になることは広く知られています。では、配偶者も死亡し子がいない場合は誰が相続人になるのでしょうか。相続分の割合も併せてみていきましょう。
下記の図の場合、被相続人(夫)「A」の相続人は誰になるのかを検討します。
- 被相続人「A」の死亡後に妻「G」が死亡(数次相続といいます)
- 被相続人「A」と妻「G」の間には子がいない
- 被相続人「A」と妻「G」の両親はすでに死亡
- 妻Gの兄「H」も死亡(※死亡時期により相続人が変動)
数次相続が発生すると相続関係が複雑化することが多いのですが、この図の例でも同様です。妻「G」の両親は既に死亡しているため妻Gの兄「H」に相続権が及びますがHも死亡しています。兄「H」が妻「G」よりも先に死亡していた場合は、代襲相続人として兄Hの子「J」が相続人となり、後に死亡した場合は数次相続により兄Hの妻「I」も相続人に加わります。
一方、Aの血族については、両親が死亡しているため兄「B」が相続人になります。上記と同様に兄「B」が死亡していた場合はBの妻子にまで相続権が及びます。
○妻Gの兄「H」が妻「G」よりも先に死亡した場合
妻Gの兄Hの子「J」 | 4分の3 |
被相続人Aの兄「B」 | 4分の1 |
○妻Gの兄「H」が妻「G」よりも後に死亡した場合
妻Gの兄Hの妻「I」 | 8分の3 |
妻Gの兄Hの子「J」 | 8分の3 |
被相続人Aの兄「B」 | 4分の1 |
このように、子がいない場合や数次相続が発生した場合は相続の当事者が増えるため、遺産分割協議の際に難航する可能性が高まります。こういった事態を予防するためには、生前に遺言書や家族信託を利用して財産の承継者を明確にしておき、相続が発生したら数次相続が発生する前になるべく早めに相続手続きを進めることが大切です。