会社を相続?!
相続財産と聞いて思い浮かべるのは預貯金や不動産、車など処分しやすく価値がわかりやすい財産かと思われます。ところがどのように処分すればよいのか容易に理解できないもの『会社』を相続してしまう方もいらっしゃいます。
会社は法律上人格を与えられた組織ですがその法人格を相続するわけではなく、会社の株式を相続することで事実上会社を相続した形となるケースが多く見受けられます。日本人の感覚では株式の所有者が会社を所有しているという感覚は薄いようです。会社の経営や運営をしている人が会社を所有しているという感覚なのではないでしょうか。市場で取引がされている株式では売買などで利益を得ることも目的のひとつとしてあげられますが、市場で取引がされていない会社では株主が取締役などの役員に就任しているなど会社の経営に関わっていることがめずらしくありません。実は日本全国の会社の90%近くが資本金3000万円以下の会社で、平均的な資本金額は300万円ほどといわれています。このような会社ではいわゆる家族経営の会社がほとんどというのが実態です。
家族経営の小さな会社では、多くの場合、株式を取締役などの会社経営者が全て保有しております。そうするとその株式を相続した配偶者や子が会社経営も事実上相続してしまうことになります。株式を相続した家族も会社経営に参加しているのなら問題はありませんが、会社経営に全く関与せず会社経営権を取得しても困惑してしまうのではないでしょうか。近年は高齢化によって会社経営をやめる経営者が増加しています。しかし経営をやめるとは単に店の営業をやめて引退するだけで完結するわけではありません。法人化している会社は登記によって会社経営をやめたことの手続きをする必要があります。この登記の事を“解散の登記”と“清算決了の登記”といいます。
解散の登記と清算決了の登記
“解散の登記”と“清算決了の登記”は会社内部の事情に明るい人でなければかなり難航します。手続きに必要な書類の所在は会社経営に直に関わっていた人しか分からないこともあります。例えば会社の定款は解散登記に必要な書類となりますが、会社の定款がどこにあるのかなど会社経営に深く関わっている人しかわからないでしょう。したがって会社経営をやめる場合は税務署への届出と共に、すみやかに解散登記・清算決了登記をするべきです。会社を相続した相続人に重い負担をかけてしまうことになるからです。