2024年4月1日から、相続登記が「義務」になりました。これまで相続で不動産を受け取っても、登記するかしないかは相続人の自由でしたが、今後は登記しないと罰金の対象になります。本記事では、相続登記が義務化された背景と理由、具体的な対応方法についてご説明します。
なぜ相続登記は義務化されたのか
背景
日本全国で「所有者不明の土地」が急増。
相続登記が義務化された最大の理由は、日本全国で所有者が分からない土地が急増しているという社会問題です。
現状
- 日本全国の土地の約25%が所有者不明状態(政府調査)。
- 毎年、相続による登記されない土地がさらに増え続けている。
- 特に地方の農地や山林で深刻化している。
何が起きているのか
被相続人(亡くなった方)が所有していた不動産を、相続人が登記しないままにしておくと、以下のような問題が生じます。
- 公共事業が進まない — 道路や橋、ダムの建設予定地に所有者不明の土地があると、事業が延期・中止になる。
- 地域再生が阻害される — 団地の再開発や災害復興で、土地買収がうまくいかない。
- 税収が減少する — 所有者が不明だと固定資産税の管理も困難。
- 防災対策が遅れる — 土地管理者不明のため、防災工事が進められない。
実例
東日本大震災の復興事業では、津波で流された土地の所有者が判明せず、復興工事が大幅に遅れました。このような事態を防ぐため、政府は相続登記の義務化を決断したのです。
政府の狙い
「相続で取得した土地は必ず登記する」の仕組みづくり。
相続登記の義務化は、以下の理由に基づいています。
- 不動産は公式な記録(登記簿)に記載されるべき — 所有者が明確になることで、社会的な信頼が生まれる。
- 相続人の責任を明確化 — 相続で取得したら、登記する義務がある。
- 罰則で強制力を持たせる — 義務を果たさない場合は罰金という制度。
相続登記義務化の具体的な内容
相続登記が義務になるのは、以下の場合です。
| 対象者 | 相続により不動産(土地・建物)を取得した相続人 |
| 対象不動産 | 土地・建物・共有不動産 |
| 義務の内容 | 「いつまでに何をするのか」 |
| 期限 | 相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内 |
事例
- 父親が2024年6月1日に亡くなった。
- 相続人が6月10日に不動産についての相続を知った。
- 登記期限:2027年6月9日まで。
対象の不動産すべてを登記する必要がある
「今は土地だけ登記して、建物は後で」という部分的な登記では駄目です。相続により取得したすべての不動産を登記する必要があります。
相続人が複数いる場合の取扱い
相続人が複数いる場合、以下の方法で登記できます。
- 遺産分割協議で決まった者が登記 — 「Aさんが家を相続する」と決まったら、Aさん名義で登記。
- 法定相続分での共有登記 — 相続人全員の共有名義で登記。
- 一部の相続人が相続人申告登記 — 相続人が多数いる場合等、遺産分割が成立しないときは相続人申告登記を申請することで、遺産分割が成立するまでの間、暫定的に義務を履行したことになります。
義務を果たさない場合
罰則
相続登記の期限(3年)を過ぎても登記しない場合、以下の処分を受ける可能性があります。
過料(かりょう):最大10万円以下の罰金
※裁判所から科される。
罰則が科される流れ
- 法務局が登記されない不動産を把握。
- 相続人に登記するよう催告。
- 催告後も応じない場合、裁判所に通知される。ただし、催告を受けた相続人から説明を受けて、登記申請を行わないことにつき、登記官において「正当な理由」があると認めた場合には、この通知はされません。
- 通知を受けた裁判所において、要件に該当するか否かを判断し、過料を科す場合は10万円以下の金額を決定します。
よくある質問






おわりに
相続登記の義務化は、一見すると相続人に新しい負担を課すように思えます。しかし、本来的には、あなたの大切な資産を公式に守るための制度です。
登記により、以下のメリットが生まれます。
- 所有権を公示できる。
- その不動産を売却や担保にできる。
- 後の相続トラブルを防ぐ。
- 社会全体の不動産管理が改善される。
相続登記について、ご不明な点やご不安なことがありましたらお気軽にご相談ください。












