不動産の所有者が亡くなったときには、法務局で不動産の名義変更手続きを行う必要があります。この手続きは義務ではありませんが、名義変更手続きを行わないと不動産の売却や、不動産を貸していた場合には賃料の請求が困難となるため、我々司法書士は相続による名義変更を推奨しております。
(※近い将来相続登記を義務付ける法改正の可能性があります)
名義変更で重要なことは?
相続による名義変更をする場合、誰がどのくらいの割合で不動産を取得するのかがとても重要になります。
例)父親が亡くなり、相続人が妻、子供である長男、次男の相続人3名
典型的な相続の形ですが、相続人の年齢、財産状況、不動産の用途、居住地などによってどのような割合で相続登記を行うかを決めます。
また母は収入が無いため、病院に通う治療費や介護費用を貯めておきたいとお考えであれば、母が単独で取得して売買代金を全額母が取得するようにする事も考えられます。ただしこの方法では母が認知症になってしまった場合に成年後見人を選任しないと、不動産の売却がてきないといった事態になる可能性があります。
そこで民事信託などにより予め母が認知症になった時のために備え、子供が認知症になってしまった母に代わって不動産の売却ができるようにする手続きもあります。この方法の優れた点は親族にとって負担の大きい成年後見制度を利用せずに済むことです。
仮に母名義にした場合は将来母が亡くなった時に改めて相続による名義変更が必要となりますが、父が亡くなった際に子供名義にしておけば母の死亡の際に相続登記が不要となります。名義変更が一度で済むので費用の節約にもなります。
また母が亡くなった時に次男と遺産分割協議をする必要がなく、居住している長男が確実に居住不動産を取得できるというメリットもあります。