3つの遺言方法
法律で定められた遺言には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言といった作成方法があります。この3つの方法で一般的に用いられるのが自筆証書遺言と公正証書遺言です。そして司法書士、弁護士などの専門家が勧めるのは公正証書遺言です。
公正証書遺言を勧める理由
公正証書遺言を勧める理由として、仮に遺言を紛失しても再発行ができることがあげられます。自筆証書遺言では遺言書を無くしてしまったらそれまでです。また遺言者が亡くなったあとに裁判所の検認が必要となります。この検認手続きは書類の収集や、裁判所の期日の設定などかなりの時間を必要とします。公正証書遺言では検認手続きが不要となるのです。さらに公正証書遺言は自筆する必要が無いため、長文で複雑な内容のものを残すことにも向いていると言えるでしょう。
公正証書遺言で用意するもの
公正証書遺言の作成には印鑑証明書、戸籍謄本、不動産の登記事項証明書、2名の証人などの書類が必要になります。また公証役場へ予約をし提出は遺言者本人が行う必要があります。遺言者の健康状態によっては公正証書遺言での対応が困難な事例も珍しくはありません。
保険としての自筆証書遺言
公正証書遺言の作成には時間がかかる傾向がありますので、保険としてとりえあえず最低限の内容の遺言を遺すために自筆証書遺言の作成が有効と考えております。自筆証書遺言は基本的には全文手書きで記載をしなければなりませんが、最近では財産目録に関してはパソコンのワードなどで作成も認められてきております。(※財産目録の余白に遺言者の氏名と押印が必要。)
自筆証書遺言の利点は手軽な事です。用紙はどのような紙でも良いですし、使用する筆記具にも制限はありません。鉛筆でも有効とされております。(※偽造を防止するためにボールペンなどで書くことが望ましい。)
自筆証書遺言を書く場所にも制限はありません。自宅でも、病院でも、船の上でも外国でも大丈夫です。
自筆証書遺言書保管制度
令和2年から自筆証書遺言を法務局に預ける自筆証書遺言書保管制度が開始されました。この制度を利用すれば上記で述べた家庭裁判所での検認手続きが不要となります。
▶遺言書保管制度の開始日と手続きについて
https://souzoku.tabatamorio-office.com/news-036/
長文になるのなら公正証書遺言
自筆証書遺言は効力を左右する本文を手書きで記載する必要があります。相続人が先に亡くなった時の対策としての予備的遺言などの、複雑な効力を発生させるための遺言の文言はどうしても長文になる傾向があります。財産を残したい相続人の数が多ければ、こちらもまた遺言は長文になる傾向があります。複雑な内容の遺言や相続人が多い場合には、やはり公正証書遺言がもっとも適していると思われます。