法定相続情報証明制度とは
相続の手続きでは原則として亡くなった方の戸籍を死亡から誕生まで集める必要があります。また相続人の戸籍も必要となります。これらの戸籍をすべて集めたはよいものの、銀行などの預金の払戻手続で時間がかかってしまう事があります。これは提出された戸籍に不足はないか精査をしていることが原因といえます。払い戻し手続を行う金融機関や証券会社が1行又は1社なら、手続きに時間がかかることもあきらめがつくかもしれません。しかし解約の手続き先が5か所以上になると、とても大変な負担となってしまう事でしょう。
そこで国は平成29年に法定相続情報証明制度という、相続人の相続関係説明図一枚で膨大な戸籍の束に代替できる制度を導入しました。誤解が多いのですがこの制度でも、やはり一度は相続手続きに必要な戸籍を全て集める必要があります。その後に法務局に戸籍の束と相続関係説明図等を提出して法定相続情報証明を発行してもらいます。
法定相続情報証明制度のメリット
この制度のメリットは、なんといっても相続の手続き先が複数存在するときに発揮されます。法定相続情報証明は銀行や証券会社だけでなく、法務局の不動産の名義変更、税金の申告、車の名義変更、保険の手続きと幅広く使うことができるのです。相続に必要な戸籍の精査は金融機関など相続の担当者にとって大きな負担となっていることが推測されます。従って戸籍の束でなく法定相続情報証明を持参すると喜んでもらえる傾向があります。
法定相続情報証明制度のデメリット
デメリットとしては相続人に外国人の方がいらっしゃると法定相続情報を作成することが今のところ認められておりません。その理由は戸籍によって相続人である事を明確に証明することができず、外国の書類が必要となるからと思われます。また相続財産がシンプルで手続き窓口が1,2か所の場合には、一度戸籍を全て集めなければならないこの制度の利便性を感じにくいかもしれません。
認知される速度がはやい?
法定相続情報証明制度を便利と感じている金融機関が多いのか、認知される速度がはやいなと感じております。平成29年から5年程度しか経過していないのに、現在ではほとんどの金融機関等で『必要書類に法定相続情報があれば戸籍の束は必要ありません』といったアナウンスをしている印象です。法定相続情報証明は無料で発行してもらえますし、再発行もできます。相続手続先が多岐にわたる方にはかなりおすすめの制度いえます。