生前贈与には税金が発生する可能性があることはご存じの方が多いと思います。一般的には、相続のときに財産を取得するよりも生前贈与をする方が税金が高くなるケースが多いのですが、制度を駆使することで相続税対策や節税につながるものもあります。生前贈与には、特例制度が色々とあります。それぞれメリット、デメリットがありますが、ここでは相続時精算課税制度を利用した不動産の贈与について取り上げます。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対して贈与する場合に利用できます。この制度はその名のとおり、相続のときまで贈与税の支払いを先延ばしできる(相続税の基礎控除内であれば非課税)というものです。この制度を利用すれば最大2500万円まで贈与を受けたときの贈与税がその時点では非課税になります。贈与する財産や回数については制限がありません。
注意点
利用にあたっては注意点があります。まず、この制度を利用すると暦年課税(年110万円までは非課税)に戻ることができません。また、土地を贈与した場合は、相続の際に小規模宅地の特例という評価額を8割減額できる制度の適用ができなくなります。一方で、相続税の基礎控除内に収まる人(全国の9割以上の世帯が該当)であれば、2500万円もの財産を贈与税を納めずに贈与できる可能性があります。ただし、相続時精算課税を利用する場合は税務署への申告が必須です。また、土地の評価の計算も必要なため、税金の専門家である税理士に事前に相談することが望ましいです。当事務所にも、様々な事情によって生前のうちに特定の子に不動産を譲渡したいというお問い合わせが時々ありますが、その際は必要に応じて税理士と連携してご相談に対応いたします。